虎に翼と、これからの私たちと。

本を読んで、強い感情を抱いたとき、インスタで感想を綴ることがあります。
誰かの共感を得ようと思っているわけではなく、自分のその時の感情を残しておきたい気持ちが強いので、誰かのリアクションをもらおうなんて思っていないのだけど、1番共感を得たのが、『82年生まれ、キム・ジヨン』のものだった。

幸いなことに、あまり性差別を受けない人生でしたが(鈍感なだけかもしれない)
キム・ジヨンが受けるナチュラルな性差別を文字で追うたびに、墨汁をぽたっとこぼしてじんわりにじむような、あのなんとも言えないストレスを思い出してしまった。
何年かに一度、普段なら聞き流すような差別発言が許せなくて、震えるほど怒り、悲しみの底に落ちることがある。私の心の中にもキム・ジヨンがいるんだな、って思った。


文章をダラダラ書きがちな私だけど、この短い感想文は、私の中でもお気に入りのテキストのひとつになった。

この感想にもある通り、私は面と向かっての性差別を受けた記憶がほとんどない。
ないのにも関わらず、誰かが受けた性差別や、エンタメの中で見せられる全ての性差別に覚えがある。


このポストをしたのは2019年。5年経った今振り返ると、恐らく性差別を受けた瞬間に全ての脳機能が停止し、記憶から抹消している節がある。
私は、自分が受けた差別から逃げているのである。昔も今も。



今、NHK朝の連続テレビ小説、「虎に翼」がおもしろくてならない。

日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ、一人の女性の実話に基づくオリジナルストーリー。困難な時代に立ち向かい、道なき道を切り開いてきた法曹たちの情熱あふれる姿を描く。


日本初の女性弁護士でのちに裁判官にもなった三淵嘉子さんをモデルに描いた朝ドラは、人間関係や感情の機微が細かく描かれ、最近のドラマの中でもかなりおもしろくハマってしまっている。

ドラマの中で、昭和初期を生きる彼女たちは、女性の生きづらさ、差別と闘いながら前に進んでいる。
傷ついても、立ち止まざる得ないことがあったとしても、一歩ずつ、歩みを止めない姿に毎朝鼓舞されたり、涙を流している。まだ放映して6週目なのが信じられないほどの濃密なストーリーだ。
(脚本家・吉田恵里香さんが1987年生まれと知って、自分と同世代の人が描いているのも、嬉しい驚き)

彼女たちのような道なき道を切り拓き、道路に少しずつタイルを敷き詰めてくれた先人がいたから、女性は社会進出ができたのだ。

虎に翼に思いを馳せていた先日。
役職定年を迎えた女性のポストが流れてきた。

▼まとめはこちらから

https://togetter.com/li/2358910

このツリーがあまりにも美しく、頑張ってこられた歴史を感じ、涙を溢さずにはいられなかった。
先人の女性たちがどんなに道路を補正し続けても、まだまだ続く封建社会。
その中で自分の信念を曲げずに、ここまでやり遂げられた女性が一企業の中にいること、カステラさんも結びで仰っていたけど


『記事の中や知り合いの誰かではなく私だということが嬉しいです。結果論ですがやってよかったです。』


全然知らない赤の他人なのに、私もとても嬉しかった。


カステラさんのポストを見て思い出していたのが、私には50代の女性の知人が2人いるのだけど、彼女たちも男女雇用機会均等法に揉まれて、ここまで歩まれてきたことが窺えることが度々ある。

何年も前、とある会合に2人で行った時、大企業を定年で迎えられた男性に、初めて会ったのにも関わらず、ぞんざいな口の利き方をされ、そんな態度をされる覚えがないので、寅子よろしく、あからさまに「スン」とした態度で接していたら、帰り道に、

「あのくらい我慢しなきゃダメだよ。私が(私と)同じ年くらいの時は、もっとひどいセクハラ接待受けてたよ」

と言われた。

また別の女性から、松本人志問題の話をしているときに
「何年も前のセクハラ告発するってありえなくない?」

と言われた。

彼女たちのこれまでの闘い方は、何も間違っていない。
そういう時代だったし、三淵嘉子さんも、カステラさんも、知人たちも、キム・ジヨンもそういう時代に生きて、争ってもがいて、この令和の時代まで生きてきた。

記憶から抹消している、逃げてきたと書いたけど、我慢して思い出せば、今まで受けた痴漢の被害や、先述のぞんざいな態度の男性、その他さまざまな記憶は生々しく私の横に転がっている。

もし性別によって苦しい思いをしている人がいたら、逃げている場合ではなく助けてあげなくてはいけない。
その人を助けるだけでなく、過去苦しい思いをしてきた人たち、そして私自身の精神も助けてあげられるのではないか。もちろん、女性だけではなく、男性もだ。
性別によって気質に合っていない役割を押し付けられるのは、もう私たちの世代で終わりにしたい。