そろそろ、入口に立ってみませんか?

また虎に翼の話です。

第10週で、主人公・寅子の同窓で、恋の予感があった花岡と再会。現在食糧管理法に関する事案を担当している花岡。しかし、あまりに真面目すぎた彼は、闇市を利用せず、食料配給のみで過ごし、餓死したという、戦後の混乱を象徴した事件を描いていました。

しかし、第11週「女子と小人は養い難し?」が始まり、視聴が花岡の死を悲しむ間もなく、これまた寅子、花岡の同窓で戦争前に仲違いをしていた友人・よねと戦地へ赴いていた轟が再会。
テレビの向こうでとても喜びました。

画面の中で花岡の死を悼んでいたその時、よねが轟に向かって、『花岡のことが好きだったんだろ?』と。

熱心な朝ドラ視聴者の私も、全くそのことに気が付かず。混乱するも、あまりに土居志央梨と戸塚純貴の横顔が美しく清潔で、その流れる空気の雰囲気に感化されて涙を流してしまった。

個人的には本当にびっくりしつつ、100年後は個人の好きは尊重されるようになってるよ、轟……と想いを馳せていたら、なんだかTwitterがざわついている。そして脚本家の吉田恵里香さんが長文でポストをしている。

脚本家の方がきちんと明示していることへの嬉しさもありつつ、個人的には、まだエクスキューズが必要なのか、と驚いてしまった。
そして、前向きに捉えている人がほとんどだけど、まだ穿った見方をしてしまう人がいるのも事実ーーー



話は変わり、2019年7月にひとりでロンドン旅行へ行った際、ちょうどプライドパレードが開催されていた。

ここで驚いたのが、ロンドンの町中がレインボーだったこと。百貨店も路面店も小さなパブも、全部レインボー。1番びっくりしたのが、メトロを乗り降りする乗客、老若男女問わずにレインボーアイテムを身につけていること。しかも人数が尋常じゃない。

単純にフェス的なノリの人もいたと思うけど、日本人がおじいちゃん、おばあちゃん、赤ちゃんまで、ノリでレインボーを身につけて街を歩く日なんて来るのか……。
企業の山車の多さにも目を丸くした。Twitter社のようなビッグカンパニーから、6人しかいないチームまで、ありとあらゆる業種の山車がパレードを彩る。

あまりのカルチャーショックに開いた口が塞がらなかったことを覚えている。日本を貶めたいわけではないけど、同じ島国なのに社会的成熟度の違いにショックを受けた。

この差を埋めるのにどれだけ時間がかかるか、ゴミが落ちまくっているロンドンを呆然としながら1人歩いた景色は今でも記憶している。

そして、2024年。コロナ禍を経て、ものすごい勢いで世の中が変容していることがわかる。正直その波に振り落とされないように必死だ。

だけど、ここで踏ん張らなければ、何も変わらない。

きっとそんな思いを抱えている人が多いのだろう、製作者が戦っている気骨あるエンタメが少しずつ増えてきているように感じる。

提示された社会問題を議論するにはまだまだ成熟しきっていない今の日本では、議論の前段階で躓いてしまうこともよくある。
議論のテーブルに乗せるためには、私たちは勇気あるおもしろいエンタメのことを、自分が出せる1番大きな声で褒めることが大切で、(それはSNSでフォロワーを稼ぐとかではなく、家族、友人、会社の隣の席の人に勧めるでもいい)その小さなアクションが大きなムーブメントになり、わざわざエクスキューズをしなくてもいい社会に変わっていくサポートになっていくのかもしれない。

自分のSNSで吉田恵里香さんのTwitterのポストをシェアしたら、当事者の友人から「初めて正当な扱いを受けた気がして嬉しかった」とDMが来た。

ロンドンで受けた衝撃から6年。
私たちはようやくいろんな事象の入口に立てているのかもしれない。